標本調査 ― 一部を調べて全体を推定する
まず、身近なところから
テレビの視聴率は、全国の全世帯に聞いているわけではない。数千世帯だけ調べて「全国ではこれくらい」と 推定 している。
みそ汁の味見も同じ。鍋全体を飲まなくても、ひとさじで味がわかる。
全部を調べずに 一部から全体を知る 方法が 標本調査。
全数調査と標本調査
| 種類 | やり方 | 例 |
|---|---|---|
| 全数調査 | 対象を すべて 調べる | 国勢調査、学校の健康診断 |
| 標本調査 | 一部 を調べて全体を推定 | 視聴率、出口調査、缶詰の品質検査 |
標本調査を選ぶのは、
- 全部調べると 時間・費用がかかりすぎる(全国の世帯)
- 調べると 商品が使えなくなる(缶詰を開ける、電球の寿命を測る)
とき。逆に、一人ひとりを正確に知る必要があるもの(健康診断)は全数調査。
ことば
母集団(調べたい全体) 標本(取り出した一部)
┌─────────────────┐
│ ● ● ● ● ● ● ● ● │ 取り出す ┌───────┐
│ ● ● ● ● ● ● ● ● │ ────────▶ │ ● ● ● │ 標本の大きさ = 3
│ ● ● ● ● ● ● ● ● │ └───────┘
└─────────────────┘
- 母集団: 調べたい対象の全体
- 標本: 取り出した一部。その個数が 標本の大きさ
- 無作為抽出: 母集団のどの要素も 同じ確率で選ばれる ように取り出すこと
無作為抽出 ― かたよらない選び方
「仲のよい人だけ」「出席番号の早い順」「部活の部員だけ」は かたよる。特定のグループの意見しか集まらない。
乱数さい、くじ、乱数表、コンピュータの乱数 で選ぶと、全員が同じ確率で選ばれる。
かたよった標本から推定しても、全体の姿は見えない。
推定の方法 ― 標本の割合 ≒ 母集団の割合
例 1 生徒 3000 人から無作為に 100 人選んだら 12 人が眼鏡。全体では?
標本の割合 = 12 ÷ 100 = 0.12。母集団も同じ割合と考えて 3000 × 0.12 = 約 360 人
標本: 100 人 中 12 人 → 割合 0.12
母集団: 3000 人 中 ? 人 → 3000 × 0.12 = 360
例 2 標本 50 個のうち 3 個が不良品。不良品の割合は? → 3 ÷ 50 × 100 = 6%
標識再捕獲法 ― 数えられないものを数える
池の魚は全部つかまえられない。そこで
- 100 匹つかまえて 印をつけて 池に戻す
- 後日 50 匹つかまえたら、印つきが 5 匹だった
池全体を x 匹とすると、「全体に対する印つきの割合」と「2 回目の標本に対する印つきの割合」が等しい:
約 1000 匹。
推定値は「約」
標本調査の答えは およその値。標本が大きいほど推定は正確になるが、ぴったりにはならない。だから「約 360 人」「約 1000 匹」と言う。
練習してみよう
- 2000 人から 50 人調べて 8 人が自転車通学。全体では? → 2000 × 8 ÷ 50 = 320
- 魚 100 匹に印、後日 100 匹中 印つき 4 匹 → x : 100 = 100 : 4 → 2500
- 「缶詰の品質検査」は? → 標本調査(開けると売れない)
- 無作為抽出として適切なのは? → 乱数さいやくじで選ぶ
- 標本 80 個中 4 個が不良品。割合は何 %? → 5
よくある間違い
- × 「多く集めればかたよっていてもよい」→ 数より 選び方。無作為でないと意味がない
- × 推定で標本の人数(12 人)をそのまま答える → 割合を 母集団にかける
- × 標識再捕獲で 100 + 50 = 150 とする → 比 で考える
- × 健康診断を標本調査にする → 一人ひとりが必要なので 全数調査
練習の前に
推定、標識再捕獲、調査の種類(4 択)、無作為抽出(4 択)、不良品の割合(%)が 20 問。数は整数か小数。
「標本の割合 = 母集団の割合」の式を立ててから計算する。