極限 ― 「限りなく近づく先」を求める
まず、身近なところから
1、1/2、1/4、1/8、… とどんどん半分にしていくと、0 にはならないが 限りなく 0 に近づく。
1 + 1/2 + 1/4 + 1/8 + … と無限にたし続けると、無限に大きくはならず 2 に近づく(アキレスと亀)。
「無限に続けたとき、どこに落ち着くか」を扱うのが 極限。微分・積分の土台になる考え方。
数列の極限
n → ∞ のとき aₙ がある値 α に限りなく近づけば 収束(lim aₙ = α)。そうでなければ 発散。
収束: aₙ → α(1 つの値に近づく)
発散: 正の無限大 ∞ / 負の無限大 −∞ / 振動(行ったり来たり)
等比数列 rⁿ の極限
| r の範囲 | rⁿ の行き先 | 例 | ||
|---|---|---|---|---|
| \ | r\ | < 1 | 0 に収束 | (1/2)ⁿ、(−1/3)ⁿ |
| r = 1 | 1 に収束 | 1ⁿ | ||
| r > 1 | 正の無限大に発散 | 2ⁿ | ||
| r ≦ −1 | 振動(発散) | (−1)ⁿ、(−2)ⁿ |
分数の形は最高次の項でわる
例 1
分母・分子を n でわる: 。n → ∞ で 1/n → 0 なので 2/3。
結局「最高次の係数の比」になる。
無限等比級数 ― 無限にたす
初項 a、公比 r の等比数列を無限にたした和は、|r| < 1 のとき 収束して
理由: 有限の和 a(1 − rⁿ)/(1 − r) で rⁿ → 0 とする。|r| ≧ 1 なら発散。
例 2 2 + 1 + 1/2 + 1/4 + … = 2/(1 − 1/2) = 4
例 3 3 + 3(1/3) + 3(1/3)² + … = 3/(1 − 1/3) = 9/2
関数の極限
x → ∞ ― 数列と同じく最高次でわる
例 4 → x² でわって 3/2
0/0 の形 ― 約分してから代入
例 5
そのまま x = 3 を入れると 0/0 で決まらない。因数分解して約分: → x → 3 で 6。
x = 3 そのものは代入できないが、「3 に近づく」だけなら x − 3 ≠ 0 なので約分してよい。
分母に √ があるときは有理化してから約分する。
三角関数の極限 ― 覚える 1 つの式
x が小さいとき sin x ≈ x(弧と弦がほぼ同じ長さ)。これから tan x/x → 1、(1 − cos x)/x² → 1/2 も出る。
例 6
3x = t とおくと → 3 × 1 = 3
「sin の中身にそろえて、その分の係数を前に出す」。
e ― 自然対数の底
複利計算の極限として現れる定数。数III の微分積分で eˣ と log x(自然対数 ln x)が主役になる。
連続と中間値の定理
x = a で lim f(x) = f(a) なら 連続。連続な関数で f(a) < 0、f(b) > 0 なら、間に f(c) = 0 となる c がある(中間値の定理)。方程式に解があることの証明に使う。
練習してみよう
- → 4/5
- → x − 2 → −4
- → −3/4
- 5 + 5(2/3) + 5(2/3)² + … → 5/(1 − 2/3) = 15
- (−2)ⁿ の n → ∞ → 振動(発散)
- → 4
よくある間違い
- × 0/0 で「0」や「解なし」と答える → 約分してから 代入
- × 無限等比級数を |r| ≧ 1 でも a/(1 − r) にする → 発散。公式は |r| < 1 のときだけ
- × (−1/3)ⁿ を振動と答える → |r| < 1 なので 0 に収束(符号が交互でも 0 に近づく)
- × sin 3x/x → 1 とする → 中身をそろえて 3
練習の前に
x → ∞ の分数関数(分数可)、0/0 の約分、数列の極限(分数可)、無限等比級数の和(分数可)、収束・発散(4 択)、sin kx/x が 20 問。
「最高次でわる」「約分する」「sin の中身にそろえる」の 3 つの型で解く。