複素数と方程式

複素数と方程式 ― 「2 乗して −1 になる数」を認める

まず、身近なところから

x² = −1 を満たす実数はない(2 乗は 0 以上だから)。数I では「D < 0 なら実数解なし」で終わりだった。
ここで発想を変える。2 乗すると −1 になる新しい数 i を作ってしまう。すると、すべての二次方程式に解があるようになり、計算の世界が一気に広がる。
負の数を認めたときと同じ。「引けない」を「負の数」で解決したように、「√ の中が負」を「i」で解決する。

虚数単位 i と複素数

 複素数 a + bi
 ├─ 実数(b = 0): 3、−2、√5
 └─ 虚数(b ≠ 0): 2 + 3i、−i、5i

i の累乗は 4 で一周

i¹ = i、i² = −1、i³ = −i、i⁴ = 1、i⁵ = i、…
n を 4 でわった余り で決まる。i¹⁰ → 10 ÷ 4 = 2 余り 2 → i² = −1

四則計算 ― i を文字のように扱い、i² は −1 に

加減: 実部どうし、虚部どうし。(2 + 3i) + (1 − i) = 3 + 2i
乗法: 展開して i² = −1 を使う。

例 1 (2 + 3i)(1 − i)
= 2 − 2i + 3i − 3i² = 2 + i − 3(−1) = 5 + i(実部 5、虚部 1)

一般に (a + bi)(c + d i) の実部は ac − bd、虚部は ad + bc。

共役複素数と除法

z = a + bi の 共役複素数 z̄ = a − bi(虚部の符号を変える)。

必ず 実数 になる。これを使って分母から i を消す(有理化と同じ発想)。
例 2 z = 3 + 4i → z z̄ = 9 + 16 = 25

二次方程式の解 ― 複素数の範囲では必ず解がある

例 3 x² + 2x + 5 = 0
D = 4 − 20 = −16 < 0。解の公式で

D の符号解の種類
D > 0異なる 2 つの実数解
D = 0重解
D < 0異なる 2 つの 虚数解(互いに共役)

「解なし」は複素数の範囲ではもう起こらない。

解と係数の関係 ― 解かずに和と積を知る

ax² + bx + c = 0 の 2 つの解を α、β とすると

理由: a(x − α)(x − β) = ax² − a(α + β)x + aαβ を係数比較。
虚数解でも成り立つ。

例 4 2x² − 6x + 1 = 0 → α + β = 3、αβ = 1/2
例 5 x² − 3x + 1 = 0 の α² + β²
α² + β² = (α + β)² − 2αβ = 9 − 2 = 7(対称式を和と積で表す、数I の技)

練習してみよう

  1. (1 + 2i)(3 − i) の実部 → 3 − 2(−1) = 5、虚部 → −1 + 6 = 5
  2. i²³ → 23 ÷ 4 余り 3 → i³ = −i
  3. z = 2 − 5i の z z̄ → 4 + 25 = 29
  4. 3x² + 5x − 2 = 0 の α + β → −5/3、αβ → −2/3
  5. x² + 4x − 3 = 0 の α² + β² → 16 + 6 = 22
  6. x² − 2x + 5 = 0 の解の種類 → D = 4 − 20 < 0 → 異なる 2 つの虚数解

よくある間違い

練習の前に

積の実部・虚部、i の累乗(4 択)、z z̄、解の和・積(分数可)、α² + β²、解の種類(4 択)が 20 問。
i は文字のように展開し、最後に i² = −1 で整理する。