データの分析(分散・相関)― 散らばりと関係の強さを数にする
まず、身近なところから
A さんのテストは 60, 70, 80、B さんは 40, 70, 100。平均はどちらも 70 点。でも B さんの方が ばらつきが大きい。
中 2 の箱ひげ図は「範囲」でばらつきを見た。高校では 分散・標準偏差 という 1 つの数で表す。さらに「身長と体重」のような 2 つの量の関係の強さ を 相関係数 で表す。
偏差 ― 平均からのずれ
データ 4, 6, 8, 10, 12 の平均は 8。各値から平均をひいたものが 偏差:
| 値 | 4 | 6 | 8 | 10 | 12 |
|---|---|---|---|---|---|
| 偏差 | −4 | −2 | 0 | 2 | 4 |
偏差をそのまま平均すると必ず 0 になる(プラスとマイナスが打ち消す)。そこで 2 乗 してから平均する。
分散と標準偏差
例 1 上のデータ: 偏差の 2 乗 16, 4, 0, 4, 16 → 合計 40 → 分散 40 ÷ 5 = 8、標準偏差 √8 = 2√2 ≈ 2.83
分散は「2 乗」の単位(点²)なので、元の単位に戻したのが標準偏差。「平均から約 2.8 点ばらついている」と読める。
もう 1 つの計算法
例 2 平均 5、分散 3 → x² の平均 = 3 + 25 = 28
変量の変換 ― 全員に同じ操作をしたら
y = ax + b(全員の点数を a 倍して b 点たす)とすると
| 量 | x の値 | y の値 | ||
|---|---|---|---|---|
| 平均 | x̄ | a x̄ + b | ||
| 分散 | s² | a² s² | ||
| 標準偏差 | s | **\ | a\ | s** |
b をたしても ばらつきは変わらない(全員が同じだけずれるだけ)。a 倍するとばらつきは a 倍、分散はその 2 乗。
例 3 平均 12 のデータを y = 3x + 2 に → 平均 3 × 12 + 2 = 38
相関 ― 2 つの量の関係
x(身長)と y(体重)を点で打ったものが 散布図。
正の相関 負の相関 相関なし
y ● y ● y ● ●
● ● ● ● ● ●
● ● ● ● ● ● ●
● ● ● ● ●
─────── x ─────────── x ─────────── x
右上がり 右下がり ばらばら
- 一方が増えると他方も増える → 正の相関(勉強時間と点数)
- 一方が増えると他方は減る → 負の相関(気温と暖房費)
- 関係なし → 相関なし(くじ番号と当たり)
相関係数 r ― 関係の強さを −1〜1 で
- 共分散 s_xy = (x の偏差 × y の偏差)の平均。同じ向きにずれると正、逆向きなら負
- それを標準偏差の積でわって、単位に依存しない −1 〜 1 の数にする
| r の値 | 意味 |
|---|---|
| 1 に近い | 強い正の相関 |
| 0 付近 | 相関なし |
| −1 に近い | 強い負の相関 |
例 4 s_x = 2、s_y = 3、共分散 −3 → r = −3 ÷ 6 = −0.5
練習してみよう
- 5, 7, 9, 11, 13 の分散 → 平均 9、偏差² 16, 4, 0, 4, 16 → 8
- 4, 8, 10, 12, 16 の標準偏差 → 平均 10、分散 (36 + 4 + 0 + 4 + 36)/5 = 16 → √16 = 4
- 平均 4、分散 5 → x² の平均 = 21
- 「走る速さが速いほどタイムは短い」→ 負の相関
- s_x = 3、s_y = 2、共分散 6 → r = 1
- 平均 15、y = 2x + 5 → 平均 35
よくある間違い
- × 偏差をそのまま平均する → 必ず 0。2 乗 してから
- × 分散を個数 − 1 でわる → 高校の教科書では 個数 でわる
- × 変換 y = ax + b で分散に b が影響すると思う → b は 平均だけ に影響
- × 相関係数を 1 より大きい値にする → r は −1 ≦ r ≦ 1
練習の前に
分散、標準偏差、x² の平均、相関の種類(4 択)、相関係数、変換後の平均が 20 問。数は整数か小数。
分散は「偏差 → 2 乗 → 平均」の順に。